世界の木材消費量は毎年増加傾向にあり、1998年には、約34億m3 になっています。用途別にみると、薪炭用材の消費が55% と過半数を占め、開発途上地域では今でも増加傾向を示しています。他方、製材、製紙用の木材チップなどの産業用材も、1990年を境に先進地域の消費量は若干の減少に転じたものの、開発途上国地域における消費量は増加しています。

産業用の原材料調達を目的とした植林を産業植林と言い、製紙業界の場合、原料となる良質な木材チップを安定的に確保することを主な目的として植林を行っています。産業植林は、特定な樹種を大規模に短期間に栽培収穫するので、大規模な農業経営にたとえられ「フォレスト プランテーション」「ツリーファーム」などと呼ばれています。
紙の消費量は文化、産業面での需要の拡大から世界的に増加の傾向にあり、我が国の製紙産業は、こうした紙の需要の増加、世界的な森林資源の減少に対応するため、古紙の利用率を高めるとともに、製材廃材の利用など木材資源の有効利用を図り、古くから植林を行い、国内だけでなく、1970年代から海外において植林を進めてきました。
海外の産業植林地では、ユーカリ類やアカシア類などの広葉樹やラジアータマツなどの針葉樹を植えています。これらの樹種は繊維が多く製紙原料に適しており、かつ成長の速い早成樹です。早成樹の産業植林は、製紙原料としての木材を、効率的、安定的に供給することを可能にします。
産業植林では、長期的な計画に基づいて、育種、植栽、保育管理、収穫(伐採)など適切な施業・管理を行うことにより、植裁10年後くらいから、毎年一定の収穫量が得られます。収穫後には再植林し、長期に持続的な森林経営を行ないます。このように森林を計画的に循環させることにより、生産性の高い森林が造成され、天然林などの貴重な自然が保護されます。