人類は、これまで様々な産業活動、経済活動、さらに、日常生活を通じて地球の環境に大きな変化を与えてきました。産業革命以後、それらの活動が急速に拡大したため、地球規模での環境問題として深刻化しています。環境問題は、人口問題、食糧問題、資源・エネルギー問題とも深く関連した21世紀に克服すべき緊急課題であり、世界的な問題解決への取り組みが求められています。

先進地域では文明の発達とともに、森林の農地への転用や資材としての利用等により森林を大きく減少させてきましたが、最近植林活動によってわずかながら増加しています。一方、開発途上地域では、かつては先進国の商業伐採により、近年は人口増加にともなって、生活燃料や農地の需要が拡大し森林面積が急激に減少しつづけています。
森林には様々な機能があります。近年、産業用や燃料としての木材の利用だけでなく、国土の保全、水資源のかん養などの公益的機能が重視され、住民の健康や文化、教育などの面からも森林の重要性が増しています。また、森林は多くの生物の生活の場であり、生物多様性の保全に貢献し、多様な生物資源を提供しています。さらに森林は、気候を調節するための役割を果たしています。同一地域内の森林地域と非森林地域を比べると、森林地域は概して湿度が高く、気温変化が小さく穏やかに保たれています。また森林は、土壌の流出や浸食を防ぐことにより、肥沃な土壌を維持し、河川の氾濫などの原因ともなる出水量の急激な変化を緩和します。さらに森林から流れ出た水は海に注ぎ豊かな生物相をはぐくみます。また、地球温暖化を加速している温室効果ガスの中で大部分を占める二酸化炭素を吸収・固定し、森林自体が炭素の大貯蔵庫となっています。