
日本の国土の67%は森林です。またスギなどの用材を主体とした1千万haを越す人工林を有する大植林国でもあります。しかし、地形が急峻で、植裁や収穫など森林施業にかかる費用が高いことや林業労働力の高齢化のため国内での林業経営は大変難しくなっております。
海外での産業植林には、現地の社会情勢、為替の変動や病虫害、山火事、乾燥害などの自然現象による被害など多くのリスクを伴いますが、日本より植林に適した広い土地を確保でき、作業の機械化が可能であるとか、樹木の成長が速いなどのメリットがあります。
2000年末現在、日本の企業が海外で行っている産業植林は、南半球を中心に9カ国、計30プロジェクト、植林面積は292千haです。

海外植林はまず土地を見つけることから始まります(
産業植林の進め方参照)。新しく植林を予定する土地では事業を開始する前に自然条件、社会経済条件を始め植林事業の可能性検討のための多角的な事前調査を実施します。しかし既存の植林地のない地区では実際に植えてみなければ可能性を判断できない場合があります。日本の企業はオーストラリア、東南アジアなど数カ所で試験植林を行ってきました。
産業植林にはいろいろな準備が必要です。相手国政府関係者や地元との交渉から、植林のための労務確保、技術指導、資金調達までいろいろな仕事があり、日本から専門家が派遣され、多くの現地スタッフと協力して仕事を行っています。
海外での植林の方法は、国、地域によって多種多様です。すべての作業を人手に頼るという所もありますし、地拵えから収穫まで大型機材で行う機械化の進んだ所もあります。いずれの場合でも、産業植林はその国の土地を長期に利用し、そこに暮らす人々が深く係わる事業ですから、地域の人々の理解と協力なしには進める事ができません。このような立場から、事業のための労務雇用だけでなく、苗木の配布によって農家植林を奨励したり、植林地内の一部でのアグロフォレストリー*や、さらには道路の整備など、地元との共存を図りつつ事業を推めています。

現在、海外産業植林を行っている場所は、都市部から離れた、産業の少ない地域です。この様な地域での産業植林は、地元の人々の雇用機会を創出し、道路、港、橋などのインフラの整備により社会基盤も改善します。また、植林約10年後には伐採した木材を加工するチップ工業などの新しい産業が起こります。すでに自社植林木を原料としたチップの生産がパプアニューギニアとチリで開始されており、今後、各プロジェクトにおいて、植林木が伐採期に達する時期に合わせて植林木を原料とするチップ生産が始まり日本に輸出されます。
製紙産業の産業植林の理念は「使うものは作っていく」ということであり、この理念に基づき今後も産業植林を進めて行きます。