
限られた土地を最大限に活かすため植林事業では、「どのような木を育てるか」が重要課題といえます。
製紙産業の産業植林における、最適な樹種は、初期成長が速くかつ木材繊維の多いユーカリやアカシアなどです。同じ樹種でも、それぞれ特有の個性があるため、まず、植林地の気候や土壌にあった成長の良い個体を選抜し、選抜木から採取した種子や挿し木により優良な個体を増やし林を作る方法を行っています(選抜育種)。さらに、品質の安定した優良な苗を大量に増やす技術が開発されています(組織培養)。
製紙にはセルロースと呼ばれる木材の繊維が利用されます。より繊維質の多い品種をつくるための研究や、逆に繊維質以外の成分であるリグニンの生成を抑制する研究も進めています。
植林では、養苗期から収穫まで様々な病虫害の発生も予想されます。そのため植林後保育・管理の施
業を行うとともに、病虫害に強い品種の育成に努めています。病虫害、乾燥、寒さ、酸性土壌などに強い樹木が開発されれば、地球上の植林可能地が大きく広がる可能性があります。
植林地は場所により自然条件、社会条件が異なります。ある地区で成功した方法がそのまま他の地区にも当てはまることはありません。それぞれの場所にあった植林技術を確立するため、実際に植林を始めてからも、その土地により適した木の選抜、植林地とその周辺環境のモニタリング、作業法、施肥法、そして地力維持対策など、長期にわたる調査・研究・改良などを行っています。
これらの研究成果や経験などに基づく植林技術を通じて、よりよい森林造成を図って行きます。