事業・調査紹介

CDM・バイオマス関連事業

1999/05/16

【産業植林CO2固定化評価等に関する調査研究】
平成11年度調査研究報告書(1999年度):2年間のまとめ

本事業の2年間のまとめ

「産業植林のCO2固定化評価等に関する調査研究」の2年度にわたる主な成果は以下の通りである。

1)
早生樹種を対象とする産業植林地について、材積の目安となる林地の平均胸高直径などの情報はある程度得られている。しかし、林地の二酸化炭素固定量評価に必要なバイオマスや純生産量の情報はほとんどないのが現状であった。本プロジェクトによって、産業植林の主たる対象樹種、 Eucalyptus globulus、E. grandis、E. camaldulensis、E. nitens、Acasia mangium、A. auricliformisの二酸化炭素評価に必要な諸量が明らかとなった。とくに、これまでまったく情報のなかったEucalyptus類の根量についての調査結果は産業植林地における二酸化炭素固定評価に貴重な情報源となった。

2)
産業植林地における植栽密度にあまり大きな違いのないことから、本プロジェクトで得られた個体の胸高直径と個体の乾燥重量関係は調査地以外の植林地についても適用可能 (個体の葉、幹、枝、根についても同様)であることが、2調査地ではあるがE. globulus (オーストラリアのマンジマップとアルバニー)とA. mangium (ベトナムとパプアニューギニア)で確かめられた。したがって、他樹種でも同様のことが期待されるので、今後は植林地の樹種、密度、胸高直径分布、林齢の測定資料が得られればその林地の材積、バイオマス、平均材積成長量、平均純生産量の評価が可能である。

3)
オーストラリアのマンジマップでえられたE. globulusの8年生の材積量 (409m3/ha)、平均年材積成長量 (51m3/ha)、バイオマス (294t/ha)、平均年純生産量(37t/ha)はこれまでの他の調査結果と比較して大きく、この値は産業植林による二酸化炭素固定量の最大値とみなせる。この量とほとんど同様の値が南アフリカのメルモスのE. grandisで得られている (材積量:338m3、平均年材積成長量:42.3m3/ha、バイオマス:294t/ha、平均年純生産量:36.7t/ha)でも得られている。マレーシアのパソやスマトラで得られている成熟した熱帯降雨林のバイオマス約420t/ha(地上部のみ)にははるかに及ばないものの林齢8年で成熟林のおよそ半分に達することは、適正林地の選択によって多大の二酸化炭素固定を期待しうる。なお、長期間を要して成熟した熱帯降雨林の年純生産量は5〜10t/ha (地上部のみ)であることから、5年、10年といった短期間でのE. globulusの年純生産量37t/haは、二酸化炭素吸収源を期待する植林として大きな機能量といえよう。

4)
こうした植林による二酸化炭素固定量の増大は植栽、下刈りなどの管理も重要でこれらの管理に必要な燃料消費はオーストラリアのマンジマップの例で 16〜26l/haである。この石油エネルギー使用によって11.5〜18.8kg/haの炭素 (換算原単位; 0.7212kgC/l、灯油)に相当する二酸化炭素 (42.1〜68.9kgCO2/ha)が大気に放出される。したがって、二酸化炭素固定を期待した植林によって年間18.5tC/ha (換算源単位0.5tC/t)の炭素が吸収されるが間接的に11.5〜18.8kg/haの炭素が放出されるので、植林による純固定量は両者の差である。しかし、後者の量が固定量に比べて大変少ないことから、植林事業に伴う石油エネルギー消費は大変少ないといえよう。ただし、植林初期の施肥を考慮すると、窒素肥料の製造には多大の石油エネルギーを使用することから、施肥に伴う間接的な二酸化炭素放出も今後検討する必要がある。

5)
同じ林地では植栽樹種によって年純生産量が変わることがベトナムで確かめられたこと (E. camaldulensis: 10.2、A. auriculiformis: 16.0、A. mangium: 20.2t/ha)から、林地の特性に応じた植栽樹種の選定が重要である。同一地域内で林地が多少異なる、チリの結果 (7年生、E. nitens: 20.6、E. globulus: 24.7t/ha)からも予測される。

6)
植林事業による二酸化炭素の吸収量評価には、現在、その評価手法について国際的な取り決めがなされつつある(経緯的には、京都議定書、IPCCの特別報告書 (Special report on Land Use, Land Use Change, and Forestry, 2000)。植林対象事業地で、事業を実施しなくても自然植生の成長に伴う二酸化炭素固定があるから、植林行為による二酸化炭素固定はこの自然植生による二酸化炭素固定 (ベースライン)を超えていなければならない。したがって、植林事業行為による二酸化炭素吸収量はこのベースラインを超えた分として評価する、というものである。このベースラインの数値は現在ほとんど情報がない、と考えられるが本調査事業からの結果を使っておおまかな試算をおこなった。なお、すでに述べたように根量までふくめたバイオマス等の資料は大変少ないことから、地上部のみとして試算した。近年、インドネシアの東カリマンタンで、このベースラインに近い情報が得られてる。東カリマンタンの自然植生では、火災の影響によって年間成長量は異なっており、2〜14t/ha/year (ベースライン)である。また、二次林では9.4t/ha/yearである。この地域の産業植林対象樹種は主にA. mangiumなので本調査のベトナム (農耕跡地の植栽)で得られた値、20.2t/ha/year (地上部)を森林造成による値とした。
土地条件の良い立地を選んで森林造成を行うことが予想されるので、土地条件の良い立地 (14.4t/ha/year)をベースラインとみなすと、新たな森林造成によって「20.2 - 14.4 = 5.8t/ha/year」が森林造成による増加分とみなすことができる。すなわち、植林事業行為による二酸化炭素吸収相当量は20.2tではなく、 5.8t (2.9tC)と評価することになる。 ところで、東カリマンタンの産業植林用地は1999年10月現在でおよそ1,163,000ha,植林実績はおよそ385,000haである。これらの数値を基礎として概算すると、東カリマンタンでの植林実績地では2,233,000t/year (1,116,500tC/year)の森林造成による増加分が計算される。この炭素量は我が国の森林の二酸化炭素固定量のおよそ2.5%である。産業植林用地がすべて植林されたとすると、6,745,000t/year (3,372,700tC/year)で同じく7.5%である。このような単純計算には多くの問題が含まれており、更なる情報の蓄積が必要である。

報告書の入手方法
ダウンロードできない報告書の入手をご希望の場合は、ご連絡ください。残部がある報告書の場合、基本的に送料のみをご負担頂いています。残部がない場合は、コピーをお送りすることが可能ですが、送料の他、実費をご負担頂いています。当センターの会員の皆様には、毎年各報告書をお送りしております。追加でご希望の場合はご連絡下さい(無料)。
お問い合わせ

ページトップ