事業・調査紹介

CDM・バイオマス関連事業

2013/06/24

平成24年度 海外における木質バイオマス植林実施可能調査

    世界のバイオマスエネルギー消費量は、全エネルギー消費量500 エクサジュール(EJ)/ 年の約1 割を占め、この規模は原子力とバイオマス以外の再生可能エネルギー全てを合わ せてものよりも大きい。IEA の2050 年予測によれば、全エネルギー需要600〜1,000EJ/年の うちバイオマスエネルギーが50〜250EJ/年となっており、将来的には最大で全エネルギー の4 割を占める可能性もある。バイオマスエネルギーの9 割弱を占める木質バイオマスの 利用状況については、世界的に増加傾向にあり、1989〜1993 年平均の年間17.05 億m3 から 2004〜2008 年平均の18.62 億m3 へと15 年程の間に1 割近く増加している。 特に、欧州においては、同期間に1.21 億m3 から1.44 億m3 へと2 割も増加している。こ れは、EU が地球温暖化対策として政策的に化石エネルギーから再生可能エネルギーへの転 換を図っている結果である。EU は、2020 年までに再生可能エネルギーを20%にするという 目標を策定し、FIT 制度や補助金などを使ってバイオマスエネルギーへの転換を進めている。 我が国においても、2011 年8 月に再生可能エネルギー特措法が制定され、2012 年7 月より FIT 制度が施行されることから、今後、エネルギー用の木質バイオマスの需要が大きく増加 することが予想されている。 また、世界的な木質バイオマス需要の拡大に伴って、木材の成長量の旺盛な途上国にお いては、エネルギー用の木質バイオマスの生産を目的とした植林を進める動きが始まって おり、既にブラジルでは欧州向けのバイオマス用木材チップの輸出が増大している。さら に、アフリカでも欧州の需要を見込んだ体制づくりが進められており、世界各地でバイオ マス植林のための土地の買い占めや投資も進展している。 このようなバイオマス植林の動向は、今後、我が国の製紙企業が取り組んでいる海外植 林の推進にも大きな影響を及ぼす可能性がある。このため、海外における木質バイオマス 植林の実施可能性について、世界的な調査会社RISI と提携して調査を行うこととする。