事業・調査紹介

産業植林関連事業

2003/11/17

【産業植林適地の発掘調査】
ラオス人民民主共和国(2002年度)

目次

はじめに
ラオス位置地図
報告書要旨

  1. 調査の目的と概要
    1. 調査の経緯と目的
    2. 調査団員の構成
    3. 調査日程
    4. 面談者リスト
  2. 一般情勢
    1. 一般概況
    2. 主要経済指標
  3. 自然的、社会経済的条件
    1. 自然的条件
    2. 社会経済的条件
    3. 政治・経済情勢
    4. ラオスにおける外国の投資状況
    5. 道路・運輸事情
    6. 日本・ラオス関係
    7. ラオス・ベトナム関係
  4. 森林
    1. 天然林
    2. 人工林
    3. 民間の植林事業
    4. 人工林の成長状況
  5. 林業政策と関連法令の現状と課題
    1. 森林・林業政策に関する動向
    2. 植林の促進に関する法令
    3. 土地制度と林業活動との関係
  6. 林業行政機関
  7. 林産業および貿易
    1. 木材生産と林産業
    2. 林産物の輸出
  8. 外貨政策と支援措置
    1. 外貨政策
    2. 支援措置
  9. 植林適地の現状
    1. サバナケット県の地勢・土壌・気候・土地利用状況
    2. サバナケット県の森林および植林状況
    3. 植林適地の考察
  10. 植林技術の現状
    1. パルプ用材樹種の植栽技術
    2. 植林コスト
  11. 環境への影響
    1. 環境政策
    2. 環境悪化の実態と対策
  12. インフラストラクチャー
    1. 道路事情
    2. 不発弾問題の現状
    3. 港湾事情
    4. ダナン港におけるチップ工場
参考文献

Appendix
  1. 写真
  2. 改正・ラオス外国投資奨励管理法等
  3. 森林法
  4. 持続的植林の開発・促進に関する規制
  5. 資料 (ラオスにおける日本の産業別投資)
要約

調査の目的
ラオスの全土にはおもに焼畑移動耕作跡地である荒廃林地が大面積に存在し、今後大規模産業植林が進展する可能性があるが内陸国であるがゆえに海外への輸出ルートの整備が遅れていた。最近、経済開放政策の推進に伴い、ベトナムからラオス、タイへと繋ぐ「東西回廊」を整備し、さらにベトナムにラオス専用の外洋港を建設する計画を立てるなど、植林した場合の木材についても海外輸出の可能性に変化が現れてきた。このような背景を考慮し、今回は地形・気候などの自然条件やベトナムへの交通など地理的条件に恵まれたサバナケット県に焦点を当て、産業植林を実行するための基礎的な情報を収集する目的で調査を行った。

自然・社会経済的条件および森林
政治社会面では1975年にベトナム戦争が終結し、現在の「人民民主共和国」が樹立された。経済面では農林業が国内総生産の約53%を占め主産業である。 1997年に始まったアジア経済危機は、通貨「キープ」の下落や物価の上昇を引き起こし、アジア諸国の中でも危機的な状況に陥った。外貨獲得と税収の増大が経済安定化のための重要な課題であり隣国タイからの投資画が多い。
ラオスの地勢は全土面積のおよそ8割が山地である。平野はメコン川とその支流域に限られているが、中部から南部地方に広がり、水田を中心とした農業が営まれている。森林は熱帯と亜熱帯に属し、年降雨量は十分だが、明確な乾季をもつ熱帯雨緑林生態系である。1970年代には森林は国土の約7割を覆っていたが、現在では4割を下回っていると推察される。
植林は1960年代の後半にサバナケット県を中心にユーカリが産業植林樹種として導入されたが、植林地の選定や保育管理についての技術不足、関係法令の不備や適用上の指導不足、さらには洪水被害などがあり顕著な進展は見られなかった。1994年に植林を奨励する首相令の発効とともに5ヵ年の植林目標が設定され、2000年には年間植林面積が15千haとなり、累計では約97千haにまで増加している。

林業政策と関連法令
政府としては、これまでも焼畑移動耕作を削減し定着型の農業を推進するために土地・森林分配政策を進めてきている。森林法では森林を保護林、保全林、生産林、再生林、荒廃林地および裸地に区分し、実際の植林事業の対象は「荒廃林地」のみと定めている。「荒廃林地」の実態は、焼畑移動耕作の繰り返しの後、天然林には当面回復する見込みのない林地である。その面積は全国では約8,700千ha以上に上る。植林目標としては、2001年から2005年までの第5 次5カ年計画の中で134,000 ha、さらに2020年までの長期計画としては659,000 haの数値を検討している。
森林法は、国内・国外からの植林事業への投資を促進するために、各種のインセンティヴや補助を用意するとしており、外国からの投資については、外資投資法により資・機材の輸入関税、自国技術者の給与所得、林産物の輸送、事業所得税の減税などの面で優遇措置がとられる可能性があるが、すべて計画協力委員会(CPC)および関係機関との交渉による。土地は国家社会に帰属する所有財産であり外国資本による土地の所有は認められていない。なお、地球温暖化防止に資するCDM (Clean Development Mechanism)植林を考慮した植林については、未だ政府、民間ともに動きが見られない状況である。

外資政策と支援措置
投資形態としては合弁企業(外資の出資制限は最低30%以上)と100%外資企業が設けられ、CPCの中の国内・外国投資促進管理局(DDFI)において投資ライセンスを授与している。法人税は20%で隣国よりも低く抑えている。
外国投資家に対する支援措置としては、生産的資材の輸入に対する輸入関税を1%、加工や再輸出のために輸入される原料や中間財に対する輸入税の免除、輸出完成品の全てに対する輸出税の免除などのほか、投資規模が大きくラオスの社会、経済発展に大きな影響を及ぼし得ると判断される外国投資に対しては、利潤税あるいは輸入関税の減免措置を含む特典や恩典を付与するとしている。
植林を奨励する支援措置としてはさらに土地税と再植林のための税金を免除する。

植林適地の現状
ラオスの中部地方にあるサバナケット県は面積が最大で、かつ最も平野部が広い県である。地形的には西部地方の低地と、東部の丘陵地に分かれる。気候は熱帯性季節風気候地帯に属し、雨季と乾季が明瞭に現れる。メコンの大河とその支流を抱えて洪水と干ばつの被害にたびたび見舞われている。低地での植林事業地選定には注意を要する。
地理的に収穫物の日本への積み出し港としてベトナムのヴィン、ブンアン、ダナンの3港を想定し、その輸送ルートの整備状況を勘案した場合にはサバナケット県の国道9号線の沿線が植林に最も適している地域と考えられる。国境からダナン港までの距離は273 kmである。この沿線でもベトナム国境の手前約100 kmの地点までは水田と陸稲栽培とみなされる土地が介在し植林には向いていない。
植林適地として考えられるのは、ベトナム国境まで約30 km区間の周辺である。この区間は標高が200 m前後となり、焼畑移動耕作後に放置された状態の荒廃林地が多い。面積規模としては、区域面積が約12,000 haで、農地、二次林等を除く実質的な植林面積は最大でも4,000 ha程度と推定される。
産業植林の歴史は浅く、かつ農民を含めた事業体が様々であることからも植林技術の基準や標準的な作業ごとのコストは定まっていない。作業管理に当たっては植林経験が浅い者が多いことから、的確な現場指導監督者の配置も肝要となる。

インフラストラクチャー
ラオスは周囲を他国に囲まれ、外洋港を持っていない。幹線道路としては、「南北回廊」としての国道13号線と、この13号線からそれぞれ東方のベトナム国境へ向け分岐する国道が北から南へ5路線存在している。最近になって、日本、中国などの東アジア向けの輸出に有利なベトナム経由の輸送が増えつつあり、両国を結ぶ幹線道路の整備が両国とも急速に進みつつある。両国は政治的につながりが強く、関税等の条件面でお互いに最恵国待遇としている。
不発弾は国境に近いほど多く残っている。大規模産業植林を実施する場合は、独自の不発弾処理方法の開発ならびに植林作業手順のマニュアル化などが必要と思われる。
伐採した植林木を日本向けにチップ輸出する場合、サバナケット県からは国道9号線を利用してベトナム中部のダナン港を使うのが現実的と考えられる。

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